歪ーいびつー【完】

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 キャンプファイヤーが終わると、私は奏多を探して会場の周りをウロウロと彷徨っていた。
 さっきからずっと探しているのに、中々見つけられない。

 諦めてテントへ戻ろうとした、その時ーー
 遠くの方に、チラリと見える奏多の後ろ姿を見つけた。


「……奏多ぁー!!」


 私の大声にも全く気付かない様子の奏多は、キョロキョロと誰かを探すような素振りをしている。
 きっと、夢でも探しているのだろうーー

 私はチクリと痛んだ胸に気付かないフリをすると、人の流れをかき分けながら奏多の後ろ姿を追い掛けた。




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「どこに行っちゃったんだろ……」


 奏多の姿を見失ってしまった私は、寂しげに小さくポツリと呟いた。

 そのまま1人、川岸をつたってノロノロと歩いているとーー
 遠くに人影らしきものを見つけ、私は奏多かと思って近付いてみた。


「ーーあれ、……楓?」


 そこに居たのは、1人川を見つめて佇む楓だった。

 私の声に気付いた楓は、ゆっくりと振り返ると私の方に視線を向けた。


「……朱莉ちゃん。どうしたの?」


 私を視界に捉えた楓は、そう言ってニッコリと微笑む。


「奏多を追い掛けてたら、見失っちゃって……」

「あぁ……。きっと、屋外キッチンにいるんじゃないかな?」

「……楓は、こんなところで何してたの?」

「明日には、川に入れるかな? って見に来たんだけど……。まだ、ダメみたいだね」


 そう言って、小首を傾げて微笑んだ楓。
 そんな楓の顔から、何気なく下の方へと視線を移してみるとーー

 その手には、大きな石が握られている。そしてそこには……。なにやら、赤いものが付着している。


「ねぇ……。それって……、血……?」


 楓の手元を指差すと、恐る恐ると小さな声で尋ねてみる。


「……うん。悪い虫がいたから」


 そう言って、いつものように可愛らしく微笑んだ楓。


「……えっ! やだっ! それって、ムカデとか!?」

「うん。だから、もう行こう? 奏多もきっと、待ってるよ」


 手に持った石を川へと投げ入れた楓は、そう言ってニッコリと微笑むと、私を連れて屋外キッチンへと向かって歩き始めたのだった。





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